★Novel >> 童話/葉月 ルナ

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 昔々……黎明というおばあさんと……ユエというおじいさんが住んでいました。


「おい……何で俺が爺さんなんだよ!!!!!」
「あ、僕はおばあさんなんだね」
「お前は女役って部分で反論しろっての!!」



  とっても仲良しの二人の間には子供が居ませんでした。


「男同士だしな、当たり前だっての」
「この話の中では夫婦だよ?」
「ごちゃごちゃうるせぇー!」



  ある日、おばあさんは川へ洗濯に。
  おじいさんは山へ芝刈りに行きました。


「なぁ……これって『童話』じゃなくて『昔話』じゃねーのか?」
「童話も昔話も子供の為のお話だからね……基本は同じなんじゃないかな?」



  おばあさんが川で洗濯をしていると……川から……ドンブラコッコと……


「何が流れてきたの?」



  桃色の兎さんが流れてきました。


「た、大変!!」




  その頃、おじいさんが山へ芝刈りに行っていると……


「こ……このパターン……まさか……」



  竹やぶから眩しい程の光が漏れてきました。


「やっぱり!!!!!!」


  竹を切ってみると……そこには……一匹の鼠が。


「あ……竹のサイズにピッタリだ……」
「ちゅ〜v」





  家へ帰ろうとしたおばあさんは篭の中に兎さんを入れて歩いていました。


「らっくち〜んv」
「もう川に流されちゃ駄目だよ?」


  のんびり道を歩いている二人の耳に悲しそうな声が突然聞こえてきました。

  これは一体どうした事でしょう?

  不思議に思った二人が声のする方へ行って見ると……

  そこにはガラスケースの中で眠ったように死んでいるお姫様がいました。

 おばあさんが「どうしたの?」と聞くと、ガラスケースのまわりで泣いていた小人が答えます。

「実は……僕達の姫が……毒林檎を食べて……死んでしまったんです!」

「「えー!!!!?」」


  驚く兎さんとおばあさん。
  兎さんはガラスケースの上でジタジタ手を振り回しました。


「わーん!!お姫様しんじゃやだー!!」



  ジタジタ暴れていると、ガラスケースの中で異変が起こります。


「うー……誰ぇ?」
「ひゃあ!?」


  兎さんのお願いが天に届いたのでしょうか?

  お姫様は眠そうに目を擦りながら起き上がったのです!!


「わぁ!?」
「あれ?僕どうしたんだろう?」
「やったー!!クマ姫が生きてたー!!」


  小人達は大喜びです。
  兎さんもおばあさんも……事態が分かっていない姫も嬉しそうにしました。



  おばあさん達が姫と喜んでいる時。
  おじいさんも家へと向かっていました。

「ちゅ〜」
「ん?」


  何だか美味しそうなチーズの匂いがしてきました。
  それも……高い高い塔の上から。


「ちゅ〜vvv」
「…………よしっ」


  おじいさんは辺りを見回し、塔への進入を試みました。
  なかなかヤンチャさんです。


「ほっとけい」
「ちゅ?」


  塔は小さい窓が天辺辺りにあるだけで……入り口はありませんでした。
  普通ならばそこで諦めますが。

「ちゅ〜……」
「心配するな!」


  おじいさんは入る気満々です。



『東を司りし青き春よ。我は青龍也』


  おじいさんは呪文を唱え始め、力を解放します。
  目の前に三つの光が浮かび上がり……光の三角形を作り出しました。
  三角形はゆっくりとおじいさんの周辺を飛び回ります。
  それと同時におじいさんの身体は塔の天辺近くまで飛躍します。


「へへっ……チョロイぜ」
「ちゅ〜」



  塔の中には一人の青年が紅茶を飲んでいました。
  その肩には…一匹の蛇。

「げっ!?」
「ふふっ……チーズの匂いをさせていれば来ると思ったよ。相変わらず可愛いね」
「ちゅ〜?」
「ちぃーちゃんに触れるなっ!!!」


  青年はやってきた二人に笑顔を浮かべ。


「さぁ!!この塔からラプンチェルを救っておくれ!!」
「断る!!!!!!」
「ちゅ?」


  おじいさんは再び力を解放し、塔から出て行ってしまいました。


「う〜ん……失敗だね」
「………」

  肩の蛇は深い深い溜息をつきました。




  塔から逃げてきたおじいさんは今度は寄り道をしないで家へ帰る事にしました。


「たくっ……鼓吹の奴に逢うなんて……最悪だぜ」
「ちゅ〜?ちゅ」

  その道中。


「あ?まだあんのか!?」
「ちゅ?」


  一匹の黒猫が罠にかかっていました。
  足を虎バサミに挟んでしまった黒猫は必死に足を引きます。
  けれど……その程度で外れる罠ではありません。
  引けば引く程に傷は深くなります。


「あー!!ちょっと待て待て!!」
「ちゅー!!!!」


  おじいさんは虎バサミを丁寧に黒猫の足から外しました。
  痛そうに足を舐める黒猫を見。


「ほれ、治療してやっから……足出しな?」
「ちゅ〜ちゅ〜」


  荒っぽい言葉ですが、おじいさんは丁寧に傷に薬を塗ってくれました。
  黒猫は薬が染みましたが……全く暴れる事無く、おじいさんの治療を受けてます。



「よしっ!これで大丈夫だな」
「ちゅ〜」
「もう罠にかかるなよ?」
「ちゅ〜vv」
「…………」



  黒猫は軽く頭を下げ、森の中へと消えていきました。


「さて……帰るか」
「ちゅv」






  その日の晩、二人と二匹の家に一人の青年がやってきました。
  青年が言うには……昼間助けて貰った黒猫なのだと言います。
  助けて貰ったかわりに青年は望みを叶えてくれるそうです。


「何でもか!?」
「あぁ……何でも……な」
「良かったね、ユエ」
「ちゅ〜v」
「ぐー」(熟睡中)




  しばし考え、おじいさんは言いました。



「特に……ねぇな」





「え?何も無い?」
「あぁ……生活の細々とした願いならあんだけどな?こう叶えたい!って願いはねぇな」
「……なら、僕がお願いしても良いかな?」
「ん〜?良いぜ」


  おばあさんは青年に言いました。
  ニッコリとした微笑を浮かべて。














「僕達の……友達になってくれないかな?」





 難しい願いをされるのでは?と思っていた青年は少し呆気に取られつつも……笑顔を浮かべました。






  たった一日で……この家は家族が一気に増えたとさ。


END


いろんなお話が混ざってますねー。
やっぱりご主人様がおばあさん(笑)
彼らのお話は、ほのぼの! が一番です。いやホントに。


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