★Novel >> 水玉/葉月 ルナ

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「ごしょごしょ……」

「ごしょごしょ」


 クマタンとご主人様が何か耳打しながらお話をしています。
 絵本を読んでいたシルヴィはすくっと立ち上がって近づきます。


「ねぇねぇ〜何のお話〜?仲間に入れて〜」

 短い尻尾をパタパタさせながらシルヴィがクマタンの背中へタックルを仕掛けます。

「「わぁ!!?」」

 突然の襲撃にクマタンもご主人様も驚きの声を上げてしまいます。
 驚いてしまったクマタンとご主人様の声にシルヴィも驚いてしまいました。

 その場にいる皆が驚いて目を真ん丸くしてしまいます。





 一番最初に我に返ったのはご主人様でした。

「どうしたの?シルヴィ」
 いつもの様に優しい笑顔を浮かべていますが……今日は少し戸惑いがち。
 そんなご主人様に「?」と首を傾げつつ長い耳を揺らしました。
「ご主人様達こそ、どしたの〜??」
 シルヴィはご主人様の足に抱きついて、一生懸命顔を見上げます。
 見上げすぎて……シルヴィは後ろへとバランスを崩し、床へと頭をゴッツン。
「あう〜」
「だ、大丈夫!?シルヴィ!!」
「気をつけなきゃ駄目だよ?」
「う〜ん??」
 少し痛む頭を抑えつつ、起き上がります。




 ご主人様とクマタンの様子がおかしいのを不思議がりながら……







 様子がおかしかったのは次の日も同じでした。


 ご主人様とクマタンはシルヴィにお留守番をお願いして、出かけてしまったのです。
 皆のお家に一匹は寂しいシルヴィはクッションを抱きしめながら考えます。





 何だろう?



 何でいつもと違うんだろう?







 けれどどんなに考えても答えは出てきません。
 そろそろ知恵熱を出して倒れてしまいそうになった時でした。
 シルヴィの耳に「ただいま〜」と言うクマタンの声が聞こえてきました。

「おかえりなさーい!!!」

 今まで抱いていたクッションをその場に置いて、シルヴィは玄関へ向けてダッシュです。
 通称シルヴィDASH。(兎さんは足が速い)






「ご主人様〜おかえりなさーい」
 大好きなご主人様の胸に飛び込むシルヴィ。
 さっきまで一匹だったのが寂しかったから……というのも理由ですが、何だか除け者にされている様な感じがしたからです。


 大好きなご主人様とクマタンがそんな事する筈無いのに〜!と心から思いつつ。






「寂しかった?ごめんね」
 よしよし……と頭を撫でてくれるご主人様、足元ではクマタンが何かを握り締めて「ごめんねー?」と謝っていました。
「?なぁに?それ」
 ご主人様の腕の中で少し首を動かして、シルヴィは問い掛けました。
 するとクマタンは「えへへ〜」と嬉しそうに持っていた物を見せてくれました。


「じゃーん!!シルヴィの新しい傘だよーv」



 そう言って持ち上げた物。

 それは……水玉模様の傘でした。


「あっ………」

「少し前に壊れちゃったからね。プレゼントだよ」
 シルヴィをクマタンの隣に降ろして、ご主人様はニッコリと微笑みました。

 突然の事にシルヴィは言葉を失っていました。
 だって……昨日の秘密の会話がシルヴィの傘選びの相談だと分かったのだから。




「………有難う!!ご主人様、クマタン!!」

 受け取った傘をぎゅっと抱きしめ、シルヴィは笑顔を浮かべました。









 ただ、嬉しすぎて……その赤い目からは少し涙が滲んでいましたが……


END


彼らが除け者にするはずがありませんねー。仲良しな家族ですもの。
シルヴィが傘を差す時は、おそろいのレインコートも着ていて欲しいですね。
可愛いと思うよ。


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