★Novel >> ソックス/葉月 ルナ

NOVELに戻る


「幽霊が出るって所に出かけよう!!」



 最初にそう言ったのは誰だったでしょう?
 兎使い魔のシルヴィとお友達のクマタンは一緒にお出掛けする事になりました。
 場所は何故か『幽霊が出る!』で有名なスポット。
 この寒い中、ワザワザ出かけずとも良いのに。


「大丈夫?一緒に行こうか?」
 シルヴィのご主人様が心配そうに声をかけてくれます。
 心配してくれるご主人様にシルヴィは長い耳をピーンと立てて、笑顔を浮かべます。
「平気だよ!!」
「そうそう!!」
 深々と頷くクマタン。
 こうなっては止まらない二匹。既に行く気満々です。
 そんな二匹にご主人様は困ってしまいました。
 なんせ、この二匹は極度の方向音痴なのです。
 一緒に出かけなかった時に迷子にならなかった事は無い位に……
「じゃあ……キリチョ、一緒に行ってくれる?」
「ん、分かったよ」
 丁度遊びに来ていた隣に住んでいる黒猫、キリチョ。
 左耳には三つもピアスをしているお洒落猫さんです。




「もぉ〜ご主人様は心配性だな〜」
 シルヴィは懐中電灯を片手に夜道を歩いていました。
 風邪を引かないようにマフラーも忘れずに。
「それだけシルヴィが大切なんだよ」
 クールなキリチョはニヒルに笑みを浮かべました。
「……………えへへ」
 どんなにシルヴィがドジをしても、ご主人様は苦笑いで許してくれます。
 優しいご主人様がシルヴィは大好きです。
 だって、使い魔としてハッキリ言って役にはならないシルヴィを大切にしてくれるんですから。
 それに………太陽と同じ匂いがご主人様からします。

 だから、シルヴィはご主人様が大好きなのです。





「そろそろだよ〜」
 話題の場所へ近づいて来た一行。キリチョは辺りを見回し耳をパタパタさせます。
 まるで気配を探っているかの様に。
「出るかな〜」
「どうかな?」




 ぱたぱたぱた………


 何かが走ってくる音が一同の耳に聞こえてきました。
「!!!?」
 驚いたシルヴィはクマタンに抱きつきました。
 抱きつかれたクマタンもシルヴィの行動で驚いてしまいます。
「来た!」
 キリチョの言葉通り、目の前を白い何かが走っていきました。
「きゃ〜!!!」
「うぐぇ?!!シルヴィ!!しまってる!!しまってるぅ〜!!」



「………?」
 冷静に『何か』を見ていたキリチョは尻尾をピンと立てました。
 幽霊とは違う、別の何かの気配を感じ取ったのです。
 そう………………これは。
「!!」
 慌ててキリチョは両手を合わせ、口の中で呪文を唱え始めました。


『蜘蛛の意図!!!』


 呪文と共にキリチョの爪先から細い糸が発射されます。
【!】
 糸は真っ直ぐ走ってきた何かに巻きつきました。
「かかった!!」
 瞳を輝かせ、キリチョは思いっきり糸を引っ張ります。
 巻きつかれた何かはゆっくりとキリチョの元へ。
「!!いや〜!!靴下!!?」
 近づく者を確認したシルヴィはまた叫びます。
 抱きつかれているクマタンは既に声を上げる事も出来ません。
 シルヴィの言う通り。

 近づいてくる(正確にはキリチョに引っ張られている)モノは………白い靴下でした。


「違う!!あれは狐だ!!」
「………きつね??」
 叫ぶシルヴィに一喝するキリチョ、その声に驚いてシルヴィは冷静に(少しだけ)なりました。
「狐??狐って……うどん?」
「ち……違う……よ」
 ボケるシルヴィに咳き込みながらも突っ込むクマタン。
 キリチョは溜息をつきつつ説明をする。
「これはホワイトソックスって言う種類だ、足元がまるで靴下を履いている様な模様をしている。
 術を使っている最中は姿が消え、足元以外見えなくなってしまうんだ」
「「おぉ〜!!」」
 驚いて拍手をしてしまうクマタンとシルヴィ。
【離せ!!!俺はご主人様を迎えに行かなきゃいけないんだ!!】
 キリチョの糸に巻きつかれていたモノはゆっくりとその姿を現しました。
 それはキリチョの言う通り、足元が白い模様の狐でした。
「ご主人???」
 いつのまにか目の前まで寄せられていたモノ、狐は叫びます。
【そうだ!!!】
 叫ぶ狐の首にはシルヴィと同じ、使い魔の首飾りが下げられていました。
「!!君も使い魔!?」
【そーだよ!!俺は早くご主人様を迎えに行きたいんだ〜!!離せ〜!!】
 ジタバタする狐はキリチョの糸を切り裂きました。
「わっ!」
 再び足元の模様以外が消え、狐は何処かに走っていってしまいました。



「幽霊の……正体って……使い魔だったんだぁ……」
 その場に残された一同はそう呟きました。






 それから数日後。
 シルヴィはご主人様と一緒にお買い物に来た時です。
 同様に買い物をしている青年の傍らに足元だけが白い狐の使い魔を見ました。
 その子は………もしかして?


END


ルナちゃんのサイトで連載中の365のお題で、クマタン&シルヴィ小説が発表されました。彼らの小説は全部頂けることになってますので(爆)ここに掲載されちゃってます。
今回はソックスっていうお題のもの。ネタ提供は私です(^_^)v 昔読んだ海外ものの猫ファンタジー小説に靴下を履いてるような模様の猫が出てたんですよね……懐かしい。
でもキリチョがこんなに活躍するとは思いませんでしたよ? モデル本人も思わないでしょう……。


NOVELに戻る